がんになりました

公衆衛生医が乳がん治療中に体験したこと、調べたこと、感じたこと、考えたことを記録していきます。

人工乳房

(初出2019年11月24日)

焼き物の町常滑にある、マエダモールドという会社の工房に行って来ました。
http://www.maeda-mold.co.jp/index.html

名前の通り鋳型の会社です。何でそんなところに?というと、こちらの人工乳房サロンの見学・相談に行って来たのです。

通常は、術後の来店を受けているそうで、私はまず見てみたい、という見学的な感じでしたが、一緒に行った術後の友人は試着もさせてもらいました。いや、これなら温泉でバレないでしょう。

こちらの会社では、石膏型制作の事業に加えて、鋳型の伝統的な技術と特殊メークの新しい技術を合わせて、乳房に限らず、エピテーゼ(医療用具として体の表面に取り付ける人工物)を10年前から手がけているそうです。火傷、外傷、手術などで欠損や変形のできた人のエピテーゼを作っているとのこと。

人工ボディ事業のメインは人工乳房。これまで10年の経験談をいろいろ交えながらお話聞かせてもらい、とっても興味深かったです。こちらが素性を明かしたせいか(一緒に行った友人は看護師)、ハルステッドの手術(乳房切除+大胸筋、小胸筋、腋窩から鎖骨下リンパ節の切除)後、数十年経った方の、肋骨の形がわかるくらいの前胸壁のところに苦労して作った話なども聞けました。

ちなみに、自分がかつて勤務していた病院は縮小手術をいち早く取り入れていたので、30年前でもハルステッド手術なんてしませんでしたが、当時やっている病院はまだあったようでした。今はほとんどしないと思いますが。

この10年でも乳がん治療のトレンドはどんどん変わっていて、紹介してくる乳腺外科医、形成外科医や患者さんのリクエストに対応しながら日々開発をしているそうです。社員数10人の小さい会社なのに、すごい!と思いましたね。その人数で石膏型とエピテーゼと両方って大変ですね?とお聞きしたら、鋳型の技術としては同じ、とのことでした。

今や保険適応になりかなり普及している再建術ですが、自分は関心がないので、術後こちらをまた考えてみたいですね。

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