(初出2019年12月21日)
実は12月13日に手術を受けて、本日退院しました!
手術、と言うとなんだか大ごとのようで、心配していただいてしまったりするのですが、表面のものをとる手術のため、腹や胸や頭といった、つまり体の中の手術のような大変さがないことはよく知っていました。何しろ、20年以上前とは言え、自分がしていたのですから。(市中病院では一般外科で乳房も扱っていた時代の一般外科医でした。)
と言うわけで、経過も想定でき、化学療法や放射線療法ほどの心配はせずに、手術前日に入院。翌日昼には、食事も含めてほぼふつうの生活に戻っていました。とは言え、ドレーン(浸出液を体外に出す管)が入っているためすぐ退院はできず、据え膳上げ膳の入院ライフをそれなりに楽しんできました。(少し術後らしいことを言うと、創と腕の痛みはあったのですが、鎮痛剤でコントロール可。)
いろいろ観察してきましたが、興味深かったのは、手術室への行き方。
50年前、16年前、今回と手術を受けるのは3回目ですが、全く違いました。病院の違いというより、時代の流れだと思いますので、現役の人に確認してみたいな、と思っているところです。
1回目:扁桃腺摘出術でしたが「怖いものが見えるといけないから」と目隠しされて、車椅子で移動。(幼稚園児にはそっちの方が怖いわ、、、と今でも思います。)
2回目:顔面痙攣のための脳外科手術で、もちろん生活の支障はなく時間が作れた時の予定手術でしたが、術衣に着替えて行きもストレッチャーで移動。
今回:術前の点滴を入れる前に、上衣だけは病院のものに変えましたが、下はパジャマのまま、ケア帽子も靴もそのままで歩いてオペ室まで入り、靴を脱いで自分でオペ台に移動。
確かに、ナースや家族とおしゃべりしながら、自分で歩いて移動するのは気が楽です。手術室というものに慣れている私でもそうだったので、はじめての患者さんのオペ前の緊張をほぐすには効果的かもしれない、と。
これって、手術室への移動をストレッチャーにするか、歩行にするかで、精神的負担が違うかどうかの比較研究なんかの結果なのでしょうか。それともストレッチャーだと2人必要だから、単に人員の問題?
ちょっと新鮮だったのは、患側と予定術式を何度も自分で言わされたこと。最後はオペ台に仰向けになってから。きっと、取り違え事件などが問題になった後の習慣なのでしょう。
麻酔から覚めた時には、するかどうか未定だった腋窩リンパ節郭清が加わったという説明をオペ台の上で受けて(家族も説明されたようですし、自分もふつうの生活になってからもう一度聞きましたが)、お、直後にこんな話もしてくれるのね、と思いました。
リンパ節郭清のため、ドレーンへの排液量がなかなか減らず、予定よりちょっと長い入院となってしまいました。パジャマのままコンビニをうろつけるぬくぬくとした生活を10日も過ごしたので、シャバの空気は寒いです。
術式は変わりましたが、ステージは変わりませんので、ご心配なく。とったリンパ節の病理所見から、放射線療法は受けずにすみそうでホッとしているところです。
(写真はオペ室への廊下とドレーン。自動販売機が置いてあったり、絵画が飾ってあるふつうの廊下です。もちろん、後から撮りました。)