がんになりました

公衆衛生医が乳がん治療中に体験したこと、調べたこと、感じたこと、考えたことを記録していきます。

がん情報をどこで探すか

(初出2019年10月5日)

8月末から2つ目の化学療法になって、毎週で12回の予定で3回終了したところで、白血球数が足りず2週連続休薬になってしまいました。3週空けて、何とかギリギリまで戻ったので、同系統でジーラスタ(白血球を増やす薬)の保険適用のある別の化学療法剤3週毎に変更になりました。こちらは1クールでジーラスタも入れると約45,000円。毎週の方の薬が約10,000円だったので、1週間平均に換算すると新しい方が5,000円/週高いです。

共済組合からのおハガキについてのビックリは、まだまだ私の考えが浅かったようで、もう少し調べてからシェアします。

さて、先日投稿を読んでくれている知り合い(名古屋近郊在住)から「自分も早期がんで手術を受けることになりそうだけど、そのがんでどこの病院がいいとか知っていますか。」というメッセージ(私のとは部位は違います)。常勤の臨床医を辞めたのが21年前ですし、関東圏の病院にいましたし、その臓器の専門性はもともとなかったので、ちょっとその質問に直接お答えすることはできませんでした。

でも、自分の病院選びの経験や、参考にできる本やサイトをシェアしました。

手術数をこなしている病院であれば、乳がんのように症例数の多い疾患で、特に早期のがんに対するシンプルな手術にそれほど術後成績の差があることはないと思います。それより、がんの場合手術以外の補助療法を併用することが多いので、どんな補助療法になるか、はポイントのひとつです。化学療法や放射線治療の併用になる場合、通院が頻回だったり、しんどかったりするので、通院しやすさは重要かと考えます。

さらに重要なのは、 担当医(病院というより)を信頼できるか。20年ほど前、自分が常勤の勤務医を辞めた直後ですが、母がとある大きな病院で「早期子宮がん」の診断で「広汎子宮全摘術+傍大動脈リンパ節郭清」という拡大手術をされそうになったことがありました。担当医に「診断名と術式が合わなくないですか?」と質問したところ、担当医曰く「当院の方針です。」そして、私のいないところで、母だけに「あなたの娘さんは元臨床医かもしれないけど、専門科も違うし、術式に対する理解が不十分。」というような説明をしたようです。でも、元自分が勤務していた病院の該当科の先生たちに相談してみても、やはり診断名と術式が合わない、という見解でした。結局母を転院させました。転院先では、単純子宮摘出という縮小手術でやっていただき、数日で退院できました。流石に母の元主治医のような態度のドクターも今は減ったと思いますが。

この経験も話して、「わかるように誠意を持って説明してくれる担当医をみつけることは、結構大事。」と説明したところ、「自分は医療関係者ではないので、そういう判断をするのは難しい。」

でも今は、多くの学会が科学的根拠に基づいた「標準治療ガイドライン」を公表していて、患者(一般の人)用のものも作っているところも多いです。国立がん研究センターの「がん情報サービス・一般の方向けサイト」も充実しています。こういうのを見て質問しても「素人が面倒な質問するな」みたいなことをいうドクター(その雰囲気をかもし出す人やよく理解できない回答しかしない人も)は避けた方がいいかも、と話しました。

とは言え、一般向けのガイドラインが20年前にあったとしても、母は読まなかったと思うし、仮に読んでもよくわからなかったでしょう。だったら情報提供した上で「ご家族や周りの人にも相談して下さい。」といった配慮が必要と思います。ちなみに、母の担当医は、60代後半専業主婦で夫(私の父)が単身赴任のため1人暮らしという人単独のところで説明していました。(私は後から手術同意書を見て「おかしい?」と気づきました。)

話を戻すと、連絡をくれた人は、紹介した一般向けガイドライン(そのがんのもありました)や「がん情報サービス」を活用してくれるみたいです。がんに限らず、治療法の選択に患者自身が関わっていくことが今は求められていますが、実際はいろいろ大変です。医療者側の誠意ある情報提供が求められていると思います。

「患者さんのための乳がん診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/…

(上記のサイトではまだ2016年版ですが、書籍版は最近2019年度版が出て、写真は2019年度版の本です。)

国立がん研究センター・がん情報サービス・一般の方向けサイト」
https://ganjoho.jp/public/index.html…

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