がんになりました

公衆衛生医が乳がん治療中に体験したこと、調べたこと、感じたこと、考えたことを記録していきます。

がん発覚

カミングアウトして、治療を受けながら思ったこと、考えたことなどをFBに書き始めたのが、術前化学療法が始まって2ヶ月を過ぎた頃でしたので、そもそも病気発覚のこと、確定診断を受けた頃のことなど、ほとんど書いていませんでした。

そろそろ一年が経ちました。

乳房のしこりを発見したのは昨年(2019年)の5月10日の金曜日。20年以上前とは言え、一般外科医として乳がんも扱って来た者としては、その時点で「まずがんだな」と思いました。触診だけでは診断は付きませんが、がんの形状は良性腫瘍と明らかに違うのです。

本来は、この後外来を受診して検査を受ける、というのが一般的なのですが、週末のうちに放射線医の友人に相談して、週明けの13日にマンモグラフィを撮ってもらいました。これがちょっと裏技だったのですが、市が検診料をサポートしているがん検診としてやってもらいました。すぐに見てくれて、所見はやはりクロ。その病院の乳腺外来をその場で予約しました。翌週の20日に乳腺外来を受診、触診、あらかじめ撮ってあったマンモグラフィとエコーで「がんで間違いないでしょう。」と言われました。

次にやることは組織診です。組織の一部を取ってがん細胞を確認します。皮膚を麻酔して、少し太めの針を腫瘍目指して刺して、中の針で腫瘍組織を引っ掛けてとり、その組織の病理検査をするのです(コア針生検)。私の場合、ドクターはエコーを見ながらやりました。感度(罹患している人を陽性とする確率)、特異度(罹患していない人を陰性とする確率)が非常に高い検査で、確定診断できると言っていいでしょう。また、がんのサブタイプもこれでわかります。

この間、かなり冷静でした。

自分が乳がん治療に関わった経験があるということで、今後何をして、どういうことになるのか、わかっていたからだと思います。もちろん、乳腺外科を受診したら、コア針生検をされることもわかっていました。

初診時、ドクターが「経過からおそらくホルモンレセプター陽性でしょう」と言ったので、治療は乳房単純摘出とその後のホルモン剤服用だな、ということもわかりました。乳房単純摘出がそれほど難しい手術ではないこと、術後どんな傷跡になるか、ホルモン剤の副作用はそれほどひどいものはないこと、おそらくステージIIで予後は良いこと、などなど、具体的に知っていて、さらに少し調べたら、20年前に比べて治療方法も予後も改善されていることがすぐにわかったからだと思います。

このあたりは、かなり特殊な患者だったかもしれません。やはり、多くの人は、しこりを発見した時、がんと診断が着いた時に、かなり動揺するようです。この動揺はおそらく「これから何が起こるかわからない」ことに起因するように思います。

がんに限ったことではなく「これから何が起こるか」を示してもらうことの、治療や患者の精神状態に及ぼす影響については「科学的根拠」もあるのではないかと思いますが、不勉強にしてまだ知らないので、ちょっと調べようと思います。

ところで、組織検査の結果を聞いたのが5月30日です。ドクターが(自分も)ホルモンレセプター陽性のタイプと思っていたのに、実は陰性で、ちょっと予定が狂うことになるのですが、それは別記事で。

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記事と関連する写真がなかったので、がん発覚の直前のGWに訪れた外海の写真。