がんになりました

公衆衛生医が乳がん治療中に体験したこと、調べたこと、感じたこと、考えたことを記録していきます。

乳がん検診

お恥ずかしいことに、がん検診を受けたことがありません。「保健医療資源へのアクセス」の分布と要因を調べることは自分の研究テーマです。「健診・検診を受けているか」はアクセスできているかを見る指標の1つだというのに、なんていうことでしょう!

言い訳をすれば、「アクセス可能か」と「(実際に)アクセスしているか」はちょっと違って、私の場合アクセスは可能なのに、実際はアクセスしていなかった訳で、ではその要因は何か、どうしたらそういう人がアクセスできるようになるのか、ということも研究されています。

が、それはさておき。

私の場合、もう、ものぐさだったからとしか言いようがありません。

10年前からしこりに気づいていた、1度だけマンモグラフィを受けたことがある、というのは昨日書きました。しこりに気づいたからマンモグラフィを受けたのかどうかも覚えていません。ただ、がん検診でなく、勤務していた病院で受けた記憶があります。

常勤医として勤務していたのが1998年まで。その後留学前に、無職・無就学?期間ができてしまって元上司のところで4ヶ月間バイトさせてもらったのが2003年。帰国して大学勤務になって、教室からの派遣で兼業をしていたのが2012~14年。その後、今もお世話になっている病院で定期的な兼業をしていますが、この病院にはマンモグラフィができる機械がないので除外。

とすると、いつマンモグラフィを受けたのか??本当にわかりません。呆れた話です。

さて、以前、日本乳癌学会の「乳癌診療ガイドライン」をご紹介しましたが、「治療編」でした。実は「疫学・診断編」もあります。

ここに「マンモグラフィによる検診は、集団全体の乳癌死亡率を下げる。」と総説に書かれています。診療ガイドラインは、エビデンス(科学的根拠)の程度で分類して書いてあるのですが、「総説」は基本中の基本のことが書かれています。これも以前ご紹介した「患者さんのために乳がん診療ガイドライン」にも「乳がん検診について教えてください。」の章にわかりやすく書いてあります。

そして、厚生労働省によるがん検診の指針では、40歳以上の女性に2年に1度のマンモグラフィが推奨されています。40歳以降何度それを無視してきたというのでしょう!!公衆衛生専門を名乗る資格も問われるような失態です。

私の場合、放射線被曝が怖かった、などというものではなく、本当にものぐさによるものなのですが、エビデンスによれば、「40歳以上であればマンモグラフィ検診の利益リスクは被曝のリスクに比べて大きい」とされています。

自分のことは棚にあげて、ですが、40歳以上の女性は、ちゃんと乳がん検診を受けて欲しいです。

f:id:mm-higuchi99:20200505131022j:plain

乳がん診療ガイドライン②疫学・診療編(専門家向け)。オンラインでも全部読めます。患者さん向けのは、本文にリンク貼りました。